「も〜!早くってば!」
「んなに急いだ所でドームは逃げねぇよ」
リュックに引っ張られるようにギップルはフリーウェイを歩いていた。


ザナルカンドの夢



「折角のコンサートだよ!楽しみじゃないの!?」
「誰もそこまで言ってないだろ・・・」
詰寄り引っ張るリュックに、呆れ気味にしぶしぶ歩いている感じのギップルだが・・・。

「歩調が合ってるあたり・・・素直になってもいいんじゃないのかな?ギップルは」
バラライは苦笑しつつ、隣のパインに話しかけた。
「・・・中々無意識なのかもしれないぞ。じゃあ聞くが、おまえは意識して私と歩調を合わせてるのか?」
パインの視線を受け、バラライは少し考えてから笑った。

「確かに。君に合わせるのは無意識だね。隣を歩きたいから」
「と、言うことなんじゃないか?ギップルも」
2人は小さく笑ってから、前を歩くギップル達を見た。
もうリュックが引っ張っているわけではないのに歩調が合っている2人。

「パイン達〜!早く早く!!」
リュックが振り返って2人を呼んだ。
ギップルも立ち止まって待っている。

「・・・まだ時間はあるような気がするが・・・?」
パインはそうぼやきつつ、リュック達に追いついた。

4人並んで、多くの人が通るフリーウェイを歩く。
向かう先には大きな『エボンドーム』が広がっていた。



ドームの入り口前につくと、リュックは辺りを見回した。
「あっれ〜?あの2人はどこだ〜?」
「ティーダもユウナもいないのか?」
「うん、見えない?」
リュックは困った表情でギップルを見上げた。
まだ背の高いギップルの方が探し人を見つけられるかもしれない。

「いたぞ、あそこだ」
「ホント!?」
リュックがギップルの見つめる方向に顔を向けると、目的の人物が視界に入る。

「あ〜!チイ!いた〜!!」
「あっ、リュック!みんなも!」
「もう約束の時間だからな」
パインが示した大時計の表示を見て、ティーダは苦笑した。

「ホントッスね。じゃあ、今日はこれまで。悪いッスね、用があるんだ」
彼を囲んでいた人物・・・ティーダのファンの子達にきちんと謝って、ティーダは4人に並んだ。

「ユウナんは?」
「オレがファンの子に捕まった時に、先に控え室に行ってるって・・・」
「も〜!!チイはユウナん大事にしなよ!」
「してます!でも、しょうがないだろ?」
簡単な口論を始めるティーダとリュック。
端から見ればただのユウナバカ同士の喧嘩だ。

「まぁ、仕方ないだろ?リュック。こいつはブリッツのエースなんだし、ユウナはそれをちゃんとわかってる。なら、私達が口出す事じゃないだろ?」
「・・・は〜い・・・」
リュックはなんとも不満そうに、しかしパインの言い分に頷いた。

「パイン、サンキュー」
「いえいえ」
「君も大変だね」
「有名人は大変なんスよ・・・」
からかいを含んだ言葉を笑顔で返されては、バラライも苦笑するしかない。

「ティーダ。それより、ここでいいのか?」
裏口から入り、ある部屋の前。
ギップルは問いかけた。

「ドーム内部はおまえが詳しいだろ?ここか?」
「そッスよ」
ティーダに確認してから、ギップルはそのドアを開けた。

「レン〜!!」
入って早々、リュックはレンに抱きついた。

本日、エボンドームで行われるコンサート。
それを行うのがザナルカンドの歌姫、レンだ。
「コンサートに誘ってくれてありがと〜!チケット、プレミアついちゃって全然入手できないんだもん」
「リュック達こそ、来てくれてありがとう。まだコンサートまでは時間あるのに・・・」
「レンに会いにきたんだよ〜!シューインにも!」
レンから離れ、リュックは笑顔を向けた。

そこにいるのは、どうも表情が硬いシューイン。

「・・・シューイン、どしたの?」
リュックが問いかけた瞬間、目の前に答えが提示された。

「まさか、緊張してるんスか?」
ティーダがバシンとシューインの背を叩く。

「らしくないッスね。オレだったら絶対平気ッスけどね」
「ほ〜・・・。この前の決勝戦の前、緊張してるどこかのチームのエースを見たと思ったんだが・・・」
「あれは武者震いッス!!」
「じゃあ俺もそうだよ」
突っかかるティーダに軽く返すシューイン。

「よかった。シューインの緊張も解けたみたい」
レンは笑ってそれを見ていた。

「私達じゃどうにもできなかったから。ティーダなら何とかしてくれると思ってたんだよね」
隣ではユウナも笑っている。

「なんの話をしてるんスか?」
「こっちの話」
「ねっ」
レンとユウナは顔を見合わせて笑った。

「気になるッス」
「気にしちゃダメっすよ?」
ユウナに小首を傾げて言われては、これ以上問えないティーダ。
「悪い話じゃないんスよね?」
「もちろん。私もレンも、キミを頼りにしてたって事」
「まっ・・・いいッスね・・・」
話は掴めないが、ティーダはあっさりそう結論付けた。

「シューイン、固さが抜けたわ。よかった」
「そういうレンは緊張してないのか?」
「もちろんよ」
レンはシューインに向けて微笑んだ。
「だってシューインがバックバンドだもの。信頼してるから」
絶対の信頼が含まれたその笑顔に、シューインの最後の緊張のカケラが取れて。
「当たり前だろ?レンのバックバンドでミスってたまるかって」
いつもの笑顔を、シューインも浮かべた。



「レンさん、シューインさん。そろそろスタンバイよろしくお願いします!」
控え室の外から呼びかける、スタッフの声。

「もう時間?パインやバラライ達とももっと話したかったのに・・・」
「コンサート後でもいつでも話せるから」
「そうね、バラライ。じゃあ、コンサートが終わったら一緒に打ち上げ行きましょう?」
「一緒に行ってもいいのか?」
「もちろん!パイン。一緒の方が楽しいじゃない」
そう言って微笑むレンに、パインも微笑み返した。

「じゃあ、付き合うさ。それまではコンサートを楽しませてもらう」
そしてみんなで控え室を出た。


「じゃあ、コンサート楽しんでね!」
これからレンとシューインは舞台側に、ティーダ達は客席へと向かう。
「頑張ってね!レン」
「もちろん!今回はユウナと一緒に歌えなくて残念。今度は一緒に歌おうね」
「緊張して失敗するんじゃないッスよ?」
「おまえには言われたくない。俺は失敗しないさ」
「・・・ほどほどにしとけよ?シドの娘」
「こっちは任せて。行ってきなよ、レン」
「またコンサートの後で。僕とパインも楽しませてもらうよ」
「また後でね、みんな」
レンとシューインは駈けていった。



ドーム内が暗くなって、夜も眠らない街のイルミネーション達の光をシャットダウンする。
ティーダ達はドームで1番いい席にて、嬉しそうにセンターに視線を向けていた。

乗り物に乗ったバンドマン達が登場する。
照明に光が入る。
一気にわ〜っと完成が広がって・・・。

『What can I do for you?』

ザナルカンドの歌姫のコンサートが始まった・・・。







先日Juraが紫姫さまのサイトさまで踏んだキリリクですv
時代の違うシューレンまでもが、何も違和感なく同じ場所にともだちのようにいるっていう感じがとてもすごいですよね!
今もちょくちょくと紫姫さまのサイトさまには行っていますが、素敵な作品は全然尽きません…!

紫姫さまのサイト、FFだけではなく鋼の錬金術士・フルーツバスケットなどなど!の
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