いつかなんて言葉を信じるほど、わたしは単純じゃない。
そんなこともわからない、アンタが悪いんだ。
秋桜
ふと窓の外を見ると、コスモスの花がたくさん咲いている花園が見えた。
ああ、もう秋なんだなと思う。
このところ忙しくて季節の変わり目を感じる余裕などなかった。
その忙しい日々も、もうすぐお終い。
ふ〜っと書類を投げ出して、そろそろ来るであろう"彼女"を待つ。
と―――
「……邪魔するよ」
いつもの時間通り、部屋に入ってきた。
「やあ。いつも通りだね」
そうバラライがあいさつをすると、パインは「ああ」と生返事を返した。
カモメ団を降りた彼女は定期的に新エボン党のバラライに逢いに来るようになった。
理由を尋ねると、
「………リュックがちゃんと"3人"で遊びなよって言うから…」
と、照れたように言ったのを今でも覚えている。
彼女がこうやって逢いに来てくれるのは本当に嬉しいし、昔みたい接してくれる。
彼女が話すのは2年前のこと、カモメ団でのミッションのこと、そして最近またユウナとリュックに逢ってきたこと、などだ。
いつもは恥ずかしいのかなかなか言わない「ユウナやリュックには感謝している」ってこともバラライには素直に話してくれる。
それはパインにとってバラライが特別な人…かどうかはわからないが、バラライにとっては密かにそれが嬉しかったりした。
他の二人―――ヌージやギップルの前では素直じゃないらしいし…。
「今さっき気付いたんだけど、もう秋なんだね」
バラライが言う。
「アンタ…それ気付くの遅くないか?」
「そうかな?」
ぷっとパインはこらえきれず笑ってしまった。
「自覚なし…か」
なんでもないような会話が、バラライにとっては何より嬉しいことだった。
それはきっと僕が、彼女のことが好きだからだろう。
わかってる。
2年前から自覚はあった。でも、伝えなかった。
臆病だったのかもしれない。
想いを伝えるのが恥ずかしかったのかも。拒絶されるのが怖かったのかも。
あの頃の彼女は、誰にだって笑いかけていたから。
今なら、言えるだろうか?
伝えることができるのだろうか?
僕だけに心の底から笑ってくれる、今なら―――
「ねぇパイン」
「なんだ?」
「さっき窓の外から見えたんだけど、コスモスが綺麗に咲いているんだ。見に行ってみないかい?」
「…わかった」
実際に近くで見ると、本当に幻想的なほど綺麗だった。
コスモスのほかにも秋花が咲いていたが、それらはコスモスの美しさを引き立たせる存在でしかない。
そしてそのコスモスも、彼女の美しさを引き立たせる存在でしかないんだ。
「すごいな。さすがは新エボン党だな」
パインが感心したように言うと、
「『さすが』の意味がわからないんだけど……」
バラライが少し呆れたように言った。
「パインは、僕のことどう思ってる?」
「…イキナリ何だ?」
いつもみたいにからかっているだけかと思い、そう訊き返す。
でも、バラライの表情はひどく真剣だ。
「からかってるのか?」
「そう思うかい?」
いや。
そうは思わない。
だけど、からかわれた方がいいんだ。
そうやって、真剣に聞かれるよりは。
笑い飛ばして欲しいんだ。
アンタに訊かれている、わたしの答えを。
なんて答えようか、パインが言葉を探していると、
「いつか、僕の想いを伝えるから」
と、バラライが言った。
「え―――?」
「いつか、ね」
「……………」
パインは俯く。
―――いつか?
「…アンタの『いつか』は、いつ来るのかわからないな」
「ははは…厳しいな」
それでも。
『いつか』が来たのなら、言うよ。
真っすぐに、君だけを見て。
悪いね。
臆病な僕は、いつだって君を待たせてばっかだ。
秋桜が散るころ。
それはきっと、僕が君に想いを伝えるころ。
fin.
ケンタさまから頂いたバラパイ小説ですよ〜v
ケンタさんの小説は何度か読んだ事があるのですが、あまりバラパイはお書きにならないようで、
「読んでみたいなー」と自分勝手な私が考えていたところ。
なんと!サイトOPEN一周年のお祝いとして小説を頂いてしまいました…(嬉)
ケンタさんの小説はとても暖かみがあって、本当に大好きですvv
パインにべた惚れなバラライが大好きなここの管理人Juraです、一応もう一年経ってたんですね…
ケンタさん、本当にありがとうございました!(最後にうまくまとめたって感じですね(汗、しかもうまくじゃないし…)
ケンタさんのFF小説中心サイト「DeaR.」さまは
コチラからどうぞ!→
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