もともと期待なんて何もしてなかったけど! なーんにもっ! ……少し泣けるけどね。 グーでパンチよりも。 夕方。 「はい」 「……っ!?」 そういってあくびをする彼女から手渡されたのは水色の包装紙でラッピングされた箱だった。 今日は、にがつじゅうよっか。世間で言うバレンタイン・デイというものである。 ヴェグナガンも居なくなり、平和になってこのスピラでは、数多くの行事ができた。それもこの一つ。 いきなりバラライが仕事をしているときに執務室に来て 「悪い。家のキッチン借りてく」 そう一言言って、足早に去っていく。 新しく出来た、しかもこーんなネタにはかなり鈍い彼女からチョコレートが貰えるとはバラライ自身も期待していなかった(実際教えるつもりだったらしいが) ので何がなんだか分からず、とりあえず仕事をやっていると、小一時間すると彼女が戻ってきて、今に至る。 「パイン、今日何の日か知ってるの!?」 「んー、とりあえず今日の朝リュックに聞いて…」 とろんとした目元と、先ほど貰った箱を交互に見ながらまるで世界中の幸せを独り占めしているような彼の笑顔。 「うーれしいなー。今日急いで作ってくれたの?」 「ん…眠いから寝る。あんたの家のソファベッド借りるからよろしく」 手をひらひらと振って、執務室から覚束ない足取りで出て行った。 それからバラライを見た人は、今までに無いくらいニヤけて仕事をバリバリとこなしている彼を見たとか見なかったとか。 でも、彼は少し何かすっきりしない気持ちに包まれていた。 リュックという最近の恋愛時事に関しての情報通から聞いたのなら、正しいことを教えてもらったのか。 それとも、またリュックが遊んで変なことを教えたのか。 はっきりとはしないが、何か変だ。 顔を少しも赤らめず、躊躇ったような態度も微塵も無い彼女の態度。 翌日。 早朝、結局彼のソファベッドで一晩明かした彼女は彼に起こされるでもなく、 彼が起きた数分後に起きて、彼女らしからぬ寝癖がついた髪を整えていた。 「パイン。昨日って何の日か知ってるの?」 「何とかデイっていうヤツだろ?」 確かに合っている。 「どんなことするか知ってる?」 「なんか…女が男にチョコあげる日だっけ?」 うん…確かに合ってる。 「じゃあ…どんな人がどんな人にあげるんだっけ?」 「そんなの…」 「厄除けに決まってるだろ」 「は?」 何かやらかしてくれたな、リュックさんめ。 「昔どっかの司祭がなんかして撲殺されたか斬首されたかで殺された日だろ」 あきらかに彼女が全然関心がなくて、内容を覚えていないかが分かる。 「だからその日に合う男の人にチョコ渡すと厄除けになるっていう…」 嬉しいような、嬉しくないような。 「あんたとか、いろいろ大変そうだし」 「パイン。激しく内容が違いすぎるんだけど」 「……リュックにはそう聞いたんだけど?」 「じゃあ、誰が誰に何をあげる日なんだよ?」 「簡潔に言わせて貰う!」 「ああ、言ってみろよ」 「女性が好きな男性にチョコをあげる日だ!」 赤面させて、リュックめ…とつぶやきながら、彼と目が合わせられない彼女。 もう、本当に愛しくて愛しくて、まるでネコのように彼女の髪に頬を摺り寄せる。 「ああ…生憎今日僕は仕事が休みでね」 「で…なんだよ……」 「ほんっと、何しようかなあ。ねぇパイン」 「……ほっとけ、変態」 結局、その日はまたパインがチョコを作って渡していたとか。 今度は顔を真っ赤に染めながら。 fin? バレンタインの後日談、超SS。 私の場合はみんな受験でバレンタインの気分じゃなかったですね、女子以外(笑) 女子は友チョコすごく大量生産なので(私も三人あげたし) でもなぜかあるクラスの男の子が、違うあるクラスの女の子から、なぜかうちのクラスの教室でもらってたという… うちのクラスって… でも本当に、本命を渡せる子っていうのはすごいと思いますよ。 ドキドキしながらチョコ渡すっていう…あぁ、青春だねぇ(まだ私も15だというのに) 私だったら一日ずらしちゃうかも。 だって、そっちの方が「何故今更!?」って、度肝を抜く方が私はとっても好きですからねぇ。 そんな私の性格を少し反映させちゃったSS。 02.20.2006 |