いつか、あたしたちはこの何気ない驚きっていうのを無くしちゃうのかな、すべてを知って。
この星、見えてる?

降り積もる雪の白さをもっと
素直に喜びたいよ




Changing Of Love




本当に、泣きたくなった。
全て輝いていた、あのころのチイを思い出して。
未来は何処までも輝いてた、大きなこの空の下で。

「リュックねーちゃんは今までにどれだけ雪、見たことあるの?」
大きな瞳が印象的な男の子がリュックに話しかけた。この子は割りと長い間ここにいる方だが、雪は見たことはない。
「あたし?あたしはねぇ、そりゃビーカネルでは見たことないよ。だけど、少し前まではスピラ中をいーっぱい飛び廻ってたから、いっつも雪が積もってるところもあったし、いっつも雨が降ってるところも見てきたの。だから、こんな雪なんて何回も見たことあるの!」
子供たちに召喚士の旅やスフィアハンターだった時代の旅の見てきたことについて子供たちにいろいろ教えてやった。子供たちはそれを夢中になって聞いていた。
「えぇええ、いいなぁ。なんかもうすぐこの雪も止んじゃいそうだもん。やっぱり雪でいろいろ作ったりはできないのかなぁ」
「こーら、あれだけギップルが雪が降ると困るって言ってたでしょ?ここはギップルを応援して、「止むように!」ってお空にお願いしなきゃ」
「はぁーい」
止まなければ、いい。


「そう、うん…、いろいろ大変だけど例の件についてはいちおう予定通り研究は続いてるよ」
『それなら良かった。本当はもうそっちの予算にあまり余裕がないってことずっと言いたかったんだ』
「全然問題無い。任せて。あ!……ねぇ、パイン」
『ん?なんだ?』
リュックが通信スフィアを繋いだのは、最近定期的に仕事の関係で通信スフィアでよく会話しているパインだった。
パインは『政府』において重要な役目を担っているが、実はリュックもそれと同等ほどの立場なのであるので、定期的にマキナや科学研究について真面目な話し合いをよくしている。リュックの以前の姿を知っている人なら「信じられない」と言うほど、彼女もまた真面目に働いている。
「ギップルって、前から変わったと思う?」
『なんで私に?』
「だって、アイツの過去を知ってて、アイツがあたし以外に一緒に居るって言ったらパインくらいなんだもん」
『ま、まあ…』
すっと、パインがスフィアから目を逸らした。
「ほんと、教えて!パインはどう思うのか。アイツは2年前から変わったの?」
ごめんパイン、なんか変なこといきなり聞いちゃって。

『2年前って言ってもあんまり覚えてないし…それに……』
「それに?」
一度迷った顔をしてから、半ば呆れたようなそれとも諦めきっているような、切なそうな顔のパイン。
『最近、仕事のときしか会ってないから仕事のときのアイツしか知らなくて、さ。』
「そ、そっか…そっちもすごく忙しいもんね。ごめん、いきなり聞いたりなんか、して」
そういえば今は式典の準備をしてるんだった。それなら仕事以外で会うことがない…っていうか仕事ばっかで仕事じゃないときがないっていうか。もう、それくらい忙しいんだもんね。
『いいや、そんなことないさ。そんな心配してる奴、この前見たばっかだから』
『まあ心配しなくていいって。アイツは2年前から相変わらずあんたのこと好きなままだって』
少しにんまりと笑いながらパインは言う。
「そ、そんなことき、聞いてないもんっ!」

『ごめん、そんなこと気にするほどの関係じゃない、か』
「ち、違うもーんっ!!…っえ、っていうことはさ……」
『何だ?』
「てことはパイン、あんまりギチョーにも会ってないってこと?」
『うん、多分ギップルよりも会ってないかな…あいつは仕事を抱え込みすぎてるから……』
「そりゃそうだよね…、ギップルなんて嫌になったりとか少しでも自分の時間が持てなくなると仕事投げ出しそうな感じだもんね……」
そのときスフィアのスピーカーからくっくっく、と笑う声がした。
「ん、パインどうしてそんなに笑ってるの?」
『ん?いや、それ本人が聞いたらどう思うかな、って』
「もー、そんなハズないじゃんっ。いくらあたしでも、本人の前でこんなこと口滑らせても言わないよ」
『あっはっは!』
「無駄に笑いすぎだよっ、パイン!」
『まぁ。当たりすぎてて笑ってるだけ。んじゃ、これから仕事あるからもう切るよ』
「うん分かった。話し相手、してくれてありがとう」

そっか、そんなに忙しいなら
変わっててもおかしくないのかな。



ビーカネルで見たときと同じように
星はまだずっと輝き続けてるよ。